玉村屋マネージャーがオススメする地域を体験できる宿シリーズ vol.1
新潟県の中でも有数の豪雪地帯・津南町にあるのが、Classic Lab 柳の家です。
ここは地域おこし協力隊として町内で活動してきた諸岡さんが開いている宿というか、雪国の暮らしにお邪魔できる家です。
諸岡さんとの出会いは、日本最大級の環境教育ミーティングである「清里ミーティング」でした。元々、宿をやっていたわけではなく、保育士として働いていましたが、現代の保育に違和感を感じ、自然の営みの中での保育を学ぶために専門学校に行かれました。その時に参加したミーティングで知り合ってから、早5年。けども実は会ったのは2回目。Facebookで、雪国の暮らしを伝える泊まれる場所を始めたというのを知っていたので、ずっと訪れたいと思っていたので、この機会に訪れたのです。
ここ柳の家のコンセプトは「感覚に素直になること」です。つまり、作られた観光地などではなく、ここの地域にあるがままのものを感じることができるのが最大の魅力。この記事も柳の家で書いていますが、聞こえてくるのはキーボードを叩く音、そして諸岡さんが食器を片付ける音だけ。ここには車のクラクションなどの人工物の音はありません。
チェックインをして最初にもらうのが、このノート。中身は「来てのお楽しみ」ということでお伝えすることはできませんが、ここのストーリーや諸岡さんの素直な想いが込められています。
今回の滞在は全くノープランで来た私に諸岡さんは一通り、周辺のことを紹介してくれました。「感覚に素直になるのがコンセプトなので積極的に観光案内をしたりはしないんです」と言うところも自然体で入れる居心地の良さかもしれません。けれども、持っている情報は豊富なので、知りたい情報はちゃんと教えてくれるので安心してください。必要なだけ寄り添って後はそっとしておくというのもコンセプト通りなのでしょう。
折角なので集落を歩いてきますと伝えると一緒に歩いて案内をしてくれました。周辺の地域のこと、雪国での暮らし、協力隊としての活動、どうしてここに住んでいるか。暮らし方を考えている人には、自分を見つめなおし、道を見つけるきっかけになると思いました。
集落の人たちが遊びに来る人たちのために作ったかまくら。中で立つことができる高さです。除雪機で雪を飛ばして作るそうですが、そのうちの1つは大きな風船の上に雪をかけて固めたもの。風船の空気を抜くと出来上がるというアイデアの塊です。
家の前においてある「大根つぐら」は、毎年秋になると冬支度として作る雪室。中にだいこんやにんじんを入れておくと新鮮なまま冬を越せるという雪国ならではの知恵です。こういう知恵は各地にあるものの、知っている年代がだんだんといなくなっているのも事実。知恵を伝えていけるかはここ5年間の課題だと常々思っているので、こういう風な暮らしを残されている諸岡さんの活動に共感を覚えました。
近くに温泉もあるということで、連れていっていただきました。そこはたまに諸岡さんもお手伝いをしているとのこと。お湯が良かったのはもちろんですが、印象的だったのは女将さんと諸岡さんの会話の雰囲気。仲の良さは、地域と共に暮らしていて、地域に受け入れられているのを感じました。地域に受け入れられている諸岡さんの宿に泊まるということは自分自身も受け入れてもらっている安心感があります。
今回は、食材提供(別途1,000円)をお願いしたので、夕食は一緒に調理をします。メニューは特別なものはありません。けれども、この周辺で採れた野菜など。作った人の顔が見える食材を食べれるのは最高の贅沢だと思います。もちろん、もっとがっつりしたものが食べたい方は車でビュンと行けば、ご飯どころもあるので、ご安心ください。けれど、ここに来たからには、この地で採れた米と野菜をぜひ食してみてください。
翌日は、諸岡さんが通っている「わら細工教室」に連れて行ってもらいました。ここでは10名くらいの方々が自家製のわらを持ち寄って、思い思いの作品を作っていらっしゃいました。作りたいものを先に作っている人に作り方を聞いて教えてもらう。
ここは地域のコミュニティーセンター。2階のホールでわら細工をしていますが、1階の管理人室では、管理人さんがCDにあわせてオカリナを吹いていてコンサート。ホールではわら細工をしているので、民芸品づくり。ここは「生きている博物館」だと感じました。地域の教室に連れて行ってもらえるのも、ここの滞在の楽しみなのかもしれません。
最後は信濃川の雪景色を眺めながら、津南町を後にしました。
ここは雪が”しんしん”と降っていて、素直に感じられる場所。
ここで迎えてくれる諸岡さんは、自分が楽しいことをしながら、地域で暮らしていくことを言葉だけじゃない方法で伝えてくれると思います。