★体験レポート★
現在、参加者募集中の「褐色に輝くつるし柿体験」
昨年に開催した時の様子を交えながら、参加したらどんなことができるかをお伝えしたいと思います。
1.つるし柿とは?
褐色に輝く”今庄つるし柿”
450年ほど前に、旅の僧侶が伝えたと言われている、
伝統と生活の知恵が詰まった農作物です。
柿には、渋みがある「渋柿」と、そのままでも食べれる「甘柿」があります。
渋柿は元々は甘柿だったのが、突然変異で渋みが出た言われており、日本固有の品種となっています。
昔の人は、この「渋み」を、どうやって美味しく食べるかに知恵を絞りました。
塩で抜いたり、お湯につけたりと様々な方法がありますが、そのうちのひとつの知恵が、
燻して、乾燥させて渋みを抜く”今庄つるし柿”です。
一言で表現するなら、スモーク干し柿。
一口食べると、口いっぱいに広がる燻された香り。そして、柿本来の甘さが感じられる「大人の果物」かもしれません。
そんな燻された干し柿を、産地として作っているのは全国でもここだけ。
つるし柿を生産、出荷する組合である「今庄特産柿振興会」に登録している生産者さんは70名ほどいらっしゃるのですが、実際に出荷しているのは30名程度。その中でも高齢化が続き、今後10年以上作り続けられる方は、かなり少ないのが現状です。
豊作と言われた昨年度は約10万個が出荷されましたが、今後、高齢化などによる生産者さんの減少で、出荷数は少なくなると予想されています。
2.作っているところってどんなところ?
昔は家々の囲炉裏を使って作っていたと言われています。今でも昔ながらの方法で囲炉裏で作っている家もありますが、ほとんどは乾燥炉と呼ばれる専用の乾燥室を使って、燻していきます。
つるし柿の体験に協力いただく、株式会社杉休は、愛知県から移住してきて20年、つるし柿を作り続けて10年の三浦さんが、つるし柿の生産・販売の拡大を通じて、つるし柿の伝統を守ることを目的に作ったつるし柿振興のための会社です。
今までの各家にある乾燥炉は小さめで、1度に1000個程度を作るのところが多いのですが、杉休さんでは大型の乾燥炉を作ったため、最大1度に5000個を入れることができます。
今年は、さらなる生産に取り組むため、工場を拡大してつるし柿シーズンに向けて準備を進めています。
実は、そんな作業場も三浦さんや従業員の長谷川さんが日々、DIYで作っています。DIYと言っても、建物を作る大工作業。「日々、苦戦しながら作っている」と三浦さんは笑っていました。手作りとは言え、構造物はもともとあった鉄筋コンクリート、構造部分だけは大工さんに作ってもらったので、作業場の安定性はご安心ください(笑)
3.体験できる作業内容
全てが手作業のつるし柿作り、「10の工程がある」と言われるほど、手間暇かけて、丁寧に作ります。体験にお越しになった方には、これらの作業のうち、その日に作業していることをお手伝いいただく形で体験していただきますので、絶対にこれができるというものではありませんので、ご了承ください。
① 柿収穫
これがないと、つるし柿作りは始まりません。
収穫するのは「長良柿」と言う渋柿で、少し縦に長い柿です。
収穫に使う道具は、竹竿とハシゴとかご。
竹竿の先が加工されており、枝を挟み込んで回すことで枝が折れて、柿を取ることができます。「ポキっ」と言う音がすれば、成功。コツを掴めれば、ポキっという音が続き、これがなかなかの快感(笑)
② 枝を整える
続いては、枝を切ってT字型に整えます。この枝を縄にかけ吊るので、サイズを揃えて切る必要があります。この枝のことを「ほぞ」や「かんざし」と呼び、同じ地域でも様々な呼び方があります。
③ サイズを測る
つるし柿はサイズ別に出荷されるので、加工の段階でまず、サイズ分けをします。
他の生産者さんは、目測や感覚で分けているのですが、新しいつるし柿作りを目指す、杉休では、最新の機械を使って計測をします。この機械もなかなか面白く、あっという間にサイズ分けが終わってしまいます。
④ ヘタを取って、皮をむく
いよいよ、柿の皮をむきます。伝統的な作り方では皮は縦向きにむくので、これが完成した時の縦の筋になってきています。杉休では、今後の作業の効率化を見据えて、自動皮むき器を併用していますので、新しいものが好きな方は、使ってみてください。ただし、結構難しい(笑)
⑤ 縄に吊るして、乾燥炉に入れる
むいた柿を縄に吊るしていきます。この縄は「ミチシバ」と呼ばれる芝を編んだもの。昔の人は農作物ができない冬の間に家の中で作っていました。今は、このミチシバで縄を編める人も減っているので、伝統を守るためには、その伝統品を作るための道具など周りにも気を配らなければいけないことを感じることができます。ここでは、ミチシバで作られた縄だけではなく、プラスチック製の縄も使われています。
⑥ 最初の乾燥(72時間)
縄に5個ずつ吊るし、それを2本合わせて計10個ずつ、乾燥炉にある棚にかけていきます。乾燥前はかなり重たいので、棚にかけるのも重労働。最初の24時間は積極的に焚き火の煙をかけて、燻して香りをつけていきます。そのあとの48時間は煙は抑えめにして、乾燥を進めていきます。大きな薪を入れても3時間ほどすると火が消えてしまうので、絶やさないために、夜中にも起きて薪を足していく作業があり、生産者にとっては寝れない夜が続きます。(希望の方は同行いただけますが、希望されない方はゆっくり寝ていただいて大丈夫ですので、ご安心ください)
⑦ タネワリ(柿を揉む)
乾燥した柿を手で揉んで、中にある種を外していきます。これが「タネワリ」という作業で、つるし柿の味や舌触りを決めるとても重要な作業と言われています。作っている家によっては「おばあちゃんしかこの作業ができない」とも言われていますので、その重要さをうかがうことができます。こんな重要な作業にも関わっていただきますので、心のご準備を。けれど、乱暴にやらなければ皮が破けたりして失敗になることはないので、心配しなくても大丈夫です。
⑧ 再び乾燥
タネワリをして太陽の光を浴びさせた柿を再び乾燥炉に入れます。
⑨ お湯で洗う
今までの乾燥で柿についた灰などを落として、綺麗にします。
4.滞在(宿泊)場所
滞在中は、杉休の加工場がある「一ノ瀬山荘」の宿舎に宿泊いただけます(宿泊費無料)
一ノ瀬山荘は昔、森林リゾートとして営業していたので、山小屋風のロッジがありますので、そのうちのいくつかを滞在者に泊まっていただけるようにしています。
水洗トイレもありますし、キッチンもあります。お風呂もありますが、家庭用サイズなので、
その日の人数によっては温泉にお連れします。(入館料600円は各自負担)
人数が多くて、一ノ瀬山荘で泊まれない場合は、スタッフの自宅(一軒家)に分かれて泊まることもありますので、ご了承ください。どうしてもホテルや旅館に泊まりたいと思われる方はご紹介しますので、お伝えください。
5.お知らせ
以上、昨年の様子を交えながら、体験のイメージをご紹介しました。
全国でもここしかやっていない、燻し干し柿の「つるし柿」をぜひお楽しみください。
我々がお待ちしています!