褐色に輝くつるし柿体験【開催レポート】

450年前から続く知恵
『褐色に輝くつるし柿体験』
★開催レポート★

暑い夏が終わり、だんだん気温が下がり始める頃。田舎の山際はオレンジ色に染まります。岐阜県から伝わったとされる「長良柿」です。

長良柿はそのまま食べることができない渋柿。昔から人は渋柿をいかにして食べるかを考えてきました。アルコールをかけたり、塩漬けしたり、お湯につけたり。きっと、渋い思いをしながら知恵を絞ってきました。その知恵のひとつが燻して作る「今庄つるし柿」です。

他の地域ではやっていない”燻した干し柿”であるつるし柿は、福井県南越前町が誇る特産品だと感じています。

1.企画のきっかけ

燻していることが特徴で味にも定評がある今庄つるし柿ですが、他の産業と同様に後継者が不足しているのが現状。高齢化の波に逆らえず、生産している人たちが減ると同時に、全体の出荷量も減ってきています。

けれども、特徴のあるものだからこそ、これからも残っていってほしいと感じています。すぐに「後継者になります!」とはならないものの、若い世代に知ってほしいと思い、お手伝いを募集し、体験してもらうことで、他の人に知っていってほしいと考えました。

2.今回の協力者

今回の協力者は、テレビの取材ににこやかに答えている三浦さん。

愛知県から20年程前に移住してきて、たまたま借りた家がつるし柿をやっていた家で、道具などが残っていたこともあり、10年程前からつるし柿を作っています。長年、個人で作ってきましたが、つるし柿を軸に南越前町をもっと盛り上げたいということで、昨年度から「株式会社杉休(さんきゅう)」として法人化し、さらなる生産に取り組んでいらっしゃいます。

3.様子

 

つるし柿を作るために、まず最初にすること!それは柿を収穫すること。しかし、この作業が「危険が伴う」「きつい」仕事なんです。参加者の方は事故がないように、安全な高さにある柿を収穫してもらいますが、高い木もたくさんあるので、梯子に上って収穫することも多く、危険が伴うことも。安全帯をつけるなど、細心の注意払いながら柿を収穫していきます。

サイズを分けた後は皮をむきます。家庭用のピーラーではなく、昔から使い続けている特製の皮むき器。柿の皮をむくのにちょうどよくできています。しかし、この皮むき器も手作りのため、今は作る人がもういないとか。伝統産業を守るには、それに使う道具にも気を配らなければいけないことを感じました。皮をむいてくれているのは、福井県坂井市から参加してくれた佑美香さん。「私、皮むきすごく好きかも~♪」と、とても楽しそうに話してくれました。普段、座りながらパソコンでの仕事が多い方には新鮮さがあってよいかもしれません。

皮がむけたら、続いては柿縄と呼ばれる縄に柿をつるします。ここで、皮のむき残しがないかをチェックしてしながら、つるしてくれているふっくんは、滋賀県から手伝いに来てくれました。地域おこし協力隊を卒業し、フリーランスで仕事していて、少し時間があるとのことだったので、誘ってみたら毎週月曜、火曜に来てくれて大活躍!

1日~2日程度の天日干しを経て、いよいよ乾燥炉に入ります。前半丸3日間の工程では、火を絶やすことなく、燻しながら乾燥させていきます。どんなけ大きな薪を入れても、火が持つのは最大4時間。夜中に起きて薪を追加するという大変な作業が必要となります。ただ、人手が必要な作業ではないので、株式会社杉休の三浦さんや長谷川さんにお任せしています。参加された方は夜はしっかり寝れるのでご安心を★

燻して完成!!!!ではありません><
続いては、柿を一つずつ揉んでいく作業。柿の芯にくっついているタネを外す「タネ割り」と言われる工程です。種を外すと同時に全体を揉んでいきます。これが味を均一にして、美味しさの決め手になっているのだとか。一つずつ丁寧に作っていくことがわかる1シーンです。

そして、再度2日間程度燻した後に、お湯で煤などを落として天日干しをしてようやく完成となります。最後に一つずつ袋に入れていく作業。大事に育てた子供を巣立たせるのと同じような気持ちなのでしょうか。

つるし柿体験では、普段の作業状況に合わせて様々なことを体験してもらいます。準備された「作られた体験プログラム」ではないからこそ、その地域の「暮らし」をリアルに感じることができると思います。

4.開催して感じたこと

つるし柿体験は、私が地域おこし協力隊として南越前町に赴任した3年前から毎年行っています。受け入れる側もようやく慣れてきて、私がサポートしなくても現地での受け入れをスムーズにやってくれるようになってきました。これも私自身が目指していた姿で、地域おこし協力隊が外からやってきてなにかを仕掛けても、その人ができなくなったら元通りになるというのがありがちです。しかし、本当はその仕掛けるのはきっかけに過ぎず、あとは協力隊がいなくなっても自分たちでできるような体制にしていくのが良いと感じています。そういう意味では積極的に外の人を受け入れてくれる環境ができてきていると思います。

来年も引き続き実施していきますので、興味ある方は来年11月にお越しください♪

 

  

 

 

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ショー

一般社団法人ぷらすたいむず理事/南越前町地域おこし協力隊 生まれてから大学卒業までを京都で過ごす。20歳の時に自転車で日本一周をしたことをきっかけに「地域」に関心を持ち、旅行会社で地域への送客を、宿泊施設で人の受入を経験し、より地域に入り込んで活動したいと考え、地域おこし協力隊として福井県に赴任。 ミッションは空き家を活用した宿屋の開業。地域素材を活用した「体感プログラム」を開拓、実施中。 協力隊任期終了後は、フリーランスとして、地域活性化サポート、宿屋の運営などを手掛ける予定。